第1章 雨降る季節【黒バス:黄瀬涼太】
それから誠凜の皆さんの休憩が終わると、黄瀬くんはそっと体育館のステージに向かった。しばらくは静かに眺めていたんだけど、途中から飽きてきたのか足をくんだり、くみなおしたりを繰り返していた。その光景を見てるとなんだか面白くて笑ってしまった。いつの間にか時間が過ぎていて黄瀬くんが誠凜の皆さんの皆さんの方へ向かっていっていた。
「黒子っちください。」
その言葉を聞いてすかさず私も声を出す。
「勝手に決めないで。黒子っちさんにも黒子っちさんの考えがあってここにいるの。そういうのは黄瀬くんの我が儘だよ。」
「架那っち、酷いッスよ~。」
黄瀬くんは酷いと言うけれど、私は間違っていないと思う。私もそうだったから。
それから話は一段落して、私達は海常に帰る。黄瀬くんは帰りたくないって駄々をこねていたけど、私は嫌がる黄瀬くんを無理矢理引っ張って帰った。
「パスを回していた人が黄瀬くんの元チームメイト?」
「そうッス!黒子っちはすごいんスよ~。」
「そう。練習試合が楽しみだね。」
あれ?私ってこんなに無愛想だったっけ?なぜか今、黄瀬くんの言ったことに対してスルーしている気がする。なんだろう、これ。胸に何かがつっかかるような感じ。私、もしかして黄瀬くんが好きなのかな?