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うちはに転生しました。

第50章 番外編2






「へえ?それで、ノコノコ帰って来たってわけか?」


缶ビールを乱暴に机に置く、赤髪の男。

その前にはグスグスと泣いているスイレンの姿があった。


「記憶がないんです、無理に連れて行くわけにはいかないでしょう」

「んだよ、面倒だな・・・つーかテメェも泣くなよ、鬱陶しい。見てるこっちがイライラするわ」

「だって、覚えてないってひどくない?・・・僕がどれだけハルのこと・・・」

「うざい。・・・鬼鮫よォ、お前はそれでいいのか?」

「・・・いいわけじゃないですけど・・・でも、じゃあどうしろって言うんですか」


鬼鮫の斜め前には、前世よりも柔らかい雰囲気になったサソリがいた。

一方のスイレンはというと、覚えていない彼女の話を聞いてから、ずっとこの調子だった。

タバコに火をつけると、サソリが煙を吐き出す。

それに対して「くっさ!」と言って、やっとスイレンが顔を上げた。


「おい、お前・・・僕の前でタバコ吸うのやめろって前も言っただろ」

「うるせーな・・・お前マジでアイツに似てるわ、そういう口うるさいところ」

「はいはい、ありがと!・・・で、どうすんの。ハルのこと、このまま放っておくつもり?」


記憶がない以上、これからどう接したところで、昔のような関係性には戻れない。

鬼鮫も、今のハルにとっては“変な人”という見え方であろうとは思うし、何よりマリには警戒されているので、正直もうあの場所には近づかない方がいいような気がする。


「───おいおい、なにいい人ぶってんだよォ?」

「おい、飛段。声がでかいぞ」

「角都だってそう思うだろ?だって、オレらは犯罪者だぜ?他人の気持ちなんて関係ねーだろ!」

「今は違うだろ、バカ。お前たちは普通の会社員だし、ハルに変なことしたら本当に殺すからね」

「ハッ、お前はただアイツについて回ってただけだろ。少なくともオレはあの頃からちっとも変わってねえ。・・・だからオレはオレの好きなようにするし、たとえ記憶がなくたって構わねえ。犯罪者にだってなってやるよ。どうせ一回死んでんだし、二回目も変わらないだろ」


男の名は、飛段。

前世では首だけ生き埋めになったあと、腐敗して死亡。

そんな彼が口角を上げて上機嫌に話すのに対し、かつての相棒がため息をついた。







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