第43章 対峙
彼女から貰った言葉や、彼女の声、動作、表情―――そのすべてが、スイレンの中を満たしていた。
それらが今、痛いほどスイレンの心を締め付けている。
幸せなものだと、大切に抱えていたものが、今は苦しい。
“行こう、スイレン”
いつかの彼女の呼ぶ声が、スイレンの心を奪っていく。
「・・・結局、これが答えだよ」
「僕は、キミが思うより強くない・・・キミは、僕がどれだけキミを大切に思ってるかなんて、知らないだろうね」
ポロポロとこぼれるスイレンの涙が、彼女の頬に落ちる。
「・・・ねえ、お願い・・・」
「起きてよ・・・僕にキミを殺させないで・・・殺せないよ、死んでほしくないよ・・・」
“対峙”
『その涙はきみのもの』