第42章 開戦
「まずイタチ兄さん・・・これから穢土転生解除するんだよね?だからたぶん、会うのはこれが最後になると思う。今までありがとう。ずっと大好きだよ」
「・・・ああ」
「サスケ兄さん、これから生きるのをやめないでね。大丈夫、サスケ兄さんは幸せになるよ。私の兄さんだもの。・・・で、サスケ兄さんに頼みがあるの」
「・・・なんだ?」
「スイレンに会ったら、約束を守らせて。あの子のことだから躊躇しそうだから・・・念を押しておいてね。サスケ兄さんにはさせたくないことだから、ちゃんと言っておいて」
「待て、なんでアイツのことを・・・」
「そこら辺は三代目様に聞いてね。私、二人の妹になれてよかった。・・・ごめんね、ずっと嘘ついてることもまだあるし、隠してることとか言わなかったこともたくさんある。でも、それについてはまた今度ってことで許してね」
「ハル、」
「ありがとう、大好き。ごめんね」
最後にハルが眉を下げつつも笑みを浮かべると、彼女はポフン!と音を立て、消えた。
「分身の術が解けたんだな。・・・さて、オレもやるか」
「・・・いいのか?完全にハルを助けなくて」
「お前がやれ。大丈夫だ、お前ならできる。おそらくハルが元に戻ったのは、オレがアイツの頭を撫でたから・・・みたいだな。そんなことがアイツを元に戻す方法になるのか知らないが、何かしらのきっかけが必要みたいだ。・・・サスケ、ハルの本体に会ったら、何かアクションを起こしてみろ。うまくいくかどうかはわからないが、やってみる価値はあるだろう」
「・・・わかった。アンタはもう・・・いくのか?」
「ああ。これでようやく父さんと母さんのところに行ける。・・・先に行って待っておくよ。でも、当分は来るなよ」
「まだ死ぬつもりはない」
強気なサスケの口調に、イタチがフッと笑う。
そしてカブトの前に立つと、穢土転生を解除するべく、印を結んでいた。
そして最後の印を結び終えると、彼は穏やかな笑みでサスケに近づいた。
「なあ、サスケ。お前は俺をずっと許さなくていい・・・お前がこれからどうなろうと・・・俺はお前をずっと愛している」
イタチがコツン、と額を合わせる。
最期に彼が笑うと術が解け、イタチは消えた。
『開戦』
“愛し愛され”