第40章 クロとハル
ダンゾウを殺し終えたサスケと対峙したサイを除く第七班は、新たな決意を胸に木ノ葉に帰っていた。
サスケに致命傷を与えられていた香燐の応急処置をしたサクラは、複雑な心境ながらもナルトを信じようと決めていた。
クロは連れ去られたという事実は周囲に伏せたまま、スイレンだけが保護という形で木ノ葉に身を置くことになった。
「じゃ、始めるぞ」
事が起こった翌日、カカシの家にいたのはヤマトとナルトとスイレンの三人だった。
スイレンは昨晩からカカシの家にいるのだが、ずっと空を見ているだけで、食事も口にしようとはしなかった。
カカシも知らないというわけではないし、とはいえ親しいというわけでもない、というような曖昧な間柄だったが、放ってはおけなかった。
「二人に来てもらったのは・・・言うまでもないが、クロについてだ。暗部はダンゾウがいない今動揺が広がっているだろうから、わざわざオレんちまで監視はしてないだろう」
「なあ、カカシ先生・・・オレさ、アイツに“クロの真実を知った方がいい”って言われたとき、すっげえムカついたけど、何も言えなかったんだ。オレ・・・クロのこと知ってるつもりだったけど、何にも知らねえんだって気づいたとき、悔しかった」
「クロについて、オレたちも何度か調べたことはあったが、結局何もわからなかったよ。三代目は何か知ってるみたいだったけど、教えてくれなかったし・・・」
そこでカカシが言葉を切る。
目を伏せたまま数秒間考え込む素振りを見せていたが、ややあって顔を上げた。
「・・・スイレン、お前だけがクロのことを知っている。話して、くれるか?」
スイレンは黙ってカカシを見て、それからヤマト、ナルトを順番に見た。
見定めるような鋭い目付きでじっと彼らの顔を見つめ、静かに頷いた。
「・・・いいよ。お前たちが、あの子のことをちゃんと、大切に思ってるなら」
「ああ」
「僕から話す前に、カカシ・・・お前、何か僕に聞きたいことあるんじゃないの?」
スイレンはまるで見通したように、カカシに視線を投げる。
カカシは「・・・そうだな」と言ったあと、ひとつ息を吐き出した。
「仮に、あの男の言ったことが真実だったとして・・・そうすれば、一つだけ筋が通る話がある。これはオレの勝手な推測だが・・・」