第38章 わたしは
「―――・・・ん」
深い眠りから目を覚ましたときのように、まぶたが重かった。
一、二度まばたきをすると、意識がはっきりしてきて、目の前にスイレンの顔があるのがわかった。
『ハル!・・・良かった、目を覚ましたんだね。気分はどう?どこか痛いところはない?』
「・・・大丈夫」
「ハル!良かったわ、目を覚ましたのね。大丈夫?」
「・・・小南ちゃん?何で・・・」
辺りを見渡すと、知らない場所だった。
(・・・外?しかも眩しい・・・私、気を失ったんだっけ・・・どれくらい起きてなかったんだろう)
そこでハッとする。
「ペインさん・・・!」
立ち上ろうとするが、スイレンに抱きかかえられていることに気づき「下ろして!」と騒いでいると、小南が少し寂しそうな表情で私に落ち着くように言った。
「・・・長門はね、もういないのよ」
「えっ・・・?」
「ナルトに夢を託して、逝ってしまったわ。・・・あなた、木ノ葉にいたんだってね。くの一をかばったって・・・私との約束を破ったの?」
「・・・ごめんなさい」
“クロ”のことがバレてしまっていると確信した私は、小さな声で謝るしかなかった。
スイレンに下ろしてもらいその場にしゃがみこむと、彼女は「いいの」と落ち着いた声で言った。
「・・・もういいわ。別にどうこうするつもりはないけど・・・でも、私も謝らなきゃいけないことがあるの」
「・・・?」
「私は暁を抜けたわ。・・・それであなたも連れてきた。勝手なことしてごめんなさい。でも、あなたにはあの男のコマになってほしくないの。私の事情で勝手なことをしてごめんなさい」
「・・・」
「長門が死んだ時点であなたが組織にいると、あなたは危険な立場にいることになる。今までは長門がリーダーとして仕切っていたけれど、彼がいないとなると今度はマダラの好き勝手させるようになってしまうわ。長門という後ろ盾が無くなることで、あなたがどんな目に合うかもわからない」
小南はそこまで言うと、大きく息を吐き出した。
「・・・あなただけは必ず守る。それが、今の私にできる一番大切なことだから」
『わたしは』
“うそつき”