第4章 弱いものいじめ。
「・・・・・・・ん・・・」
頬に感じる風で目が覚めた。
ふと気が付くと、イタチの背中だった。
あたりはまだ暗く、月が空にぽっかり穴をあけている。
「・・・・・イタチ兄さん?」
私が起きていることに気が付いているはずなのに、何も言わない。
視線の先には、暗部に運ばれていくサスケ。
と、幾つもの死体。
私が何も言えなくて、ただその光景を見つめていると、イタチがハッとしたように私の目を手で覆った。
「見るな・・・」
「イタチ兄さん」
「見るな・・・ハル・・・ごめんな」
「・・・イタチ兄さん」
(泣かないで)
「ねえ、イタチ兄さん」
「ん・・・?」
「これから、どうするの?」
「・・・とりあえず、どこか行こうと思う」
「うん、ハルも一緒に行くよ」
「・・・ありがとう。でも、その前に三代目に会いに行かなきゃいけない」
「ハルも一緒に行く」
「・・・そうか」
私が一緒に行くと言うと、驚いたように私を見つめ、寂しそうに笑った。
「ねえ、イタチ兄さん」
「ん・・・?」
「今度、団子食べに行こう」
「・・・ハル」
「・・・今度はハルも自分で歩くよ。でも、手は握ってね。ね?いいでしょ?」
「・・・・ああ。そうだな」
「約束だよ」
「ああ。――――ハル」
「ん?」
「ありがとう」
そう言ったイタチの声は、少し震えていた。