第33章 笑顔
行く途中、サイと話していたナルトがついに発狂した。
「だー!!マジでむかつくってばよ!コイツ!」
「ナルトくん、落ち着いてよー」
「いや、別にいいんだよ。僕だって別に好かれたいわけじゃないし」
原因は、主にサイの言動だった。
わざとなのか無自覚なのかはわからないが、サイの言動は勘に触るような言葉ばかりだった。
さらに、ナルトはサイのことが気に入らないらしく、それがさらにナルトをイラつかせていた。
そして―――。
「オレたちカカシ班のもう一人の班員は、サスケだ!!」
ついに耐え切れなくなったのか、大声で叫んだナルトは、サイを睨んでいた。
「ナルトくん、言い過ぎじゃない?いくらなんでも・・・ねえ、めんどくさいから仲良くしようよー」
「お前だってムカつかねーのかよ!サスケのことは別にいいってのか!?」
「いや・・・そっちのほうがいいよ」
ナルトを気にする風でもなく、サイはニコリと笑った。
「木ノ葉を裏切り、弱いくせに力ばかりを求めて大蛇丸のところへ走った・・・そんな大蛇丸と同じようなゴミ虫ヤローといっしょにされたくはないからね」
意外にも、私はあまり気にならず、その言葉に悪意を抱くことはなかったし、心境は穏やかなもので、スイレンは興味も無さそうにそっぽを向いていた。
疲れたような表情でその様子を見ていたヤマトの傍に行く。
「フフ、あなたも大変な役を引き受けちゃいましたね」
「ホントだよ・・・カカシ先輩のところの子たちだから、もうちょっとマシなのかと思ってたけど」
「ちょっとだけクセが強いけど、いい子たちですよ。優しいし―――あ、サイくんが殴られちゃった」
「ハア・・・・もう、仕方ない」
ヤマトはため息をついたあと、印を結んだ。
すると、メキメキと音をたてて、ヤマトの後ろに木造の檻が出現した。
「君らね・・・これ以上モメるとホントに檻にぶちこむよ。天地橋まで時間がないって言っても、あと五日あるんだからね」
「ヤマトさん、Sなんですね」
「君も茶化すのやめようね」
「はいー」
結局、ヤマトの凄みのある笑みでその場は収まった。
再度歩き始めたものの気まずい空気のままで、一番後ろにいた私はみんなの後ろ姿を見ながら歩いていた。
(まだサスケ兄さんのこと・・・仲間だと思ってるんだ)