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うちはに転生しました。

第32章 二年





イタチは部屋に戻ると、ベッドに入った。

すでに眠りについている妹の寝顔を見て、思わず顔がほころんだが、そのあと目を伏せた。


「ハル・・・お前、サソリのことをどこで知ったんだ?」


昨日、濡れて帰ってきたときの表情を見ると、おそらくすでに知っていたのだろう。


(誰もハルには言っていない・・・出かけたときに知ったのか?)


「・・・サソリの死に場所に行ったのか?」

「・・・」

「お前はオレの知らないところで何をしている・・・?」


ハルは答えない。

きっと、寝ても覚めても。

疑問は次々と浮かぶが、確かめる術はない。

妹には危ない思いをしてほしくないし、辛い思いもしてほしくない。

けれど、自分が何を言えようか。


(ここにいる以上、お前は・・・辛い思いをすることは避けられないのかもしれない)


イタチがハルの傍にいられる時間は限られている。

刻々とタイムリミットが迫ってきている。


(オレの最期はきっと・・・サスケが・・・)

(オレが死んでしまったら、この子を守ってくれる人間はどこかにいるのだろうか)


イタチは、怖いのだ。


(ハル・・・ごめんな。オレはサスケにしてやらないといけないことがあるんだ)


自分がいなくなれば、誰が妹を守ってくれるのだろうかと。

自分だけじゃない。

他のメンバーもそうだ。

もしかしたら、誰一人として生きていない可能性もある。

そうすれば、誰も傍にいてやれる人間がいない。

妹はしっかりしているし、いざとなれば一人で生きていく力もあるだろう。

でも―――。


(せっかくできた大切な居場所を失ってしまう・・・二度も、だ。一度はオレがお前から奪ってしまった)

(もしそうなったとき、お前は耐えられるのだろうか)

(お前はオレが守る―――たとえオレがいくら言ったとしても)

(・・・オレはお前を置いていくことになる)

(ごめんな)



『二年』

“その手を離すとき”







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