第30章 あなたがいない場所
―――同時刻・場所不明。
賞金首を狩り、資金を調達するという任務にあたっていたイタチと鬼鮫のコンビだったが、夜は体を休めるため交代制で見張りをしていた。
イタチが見張りのとき、目の前に―――一人の男が現れた。
「何の用だ―――・・・マダラ」
面の男、うちはマダラ。
うちは虐殺事件の真相を知っている数少ない一人であり、そして、イタチが弟と妹を守るため取引した相手。
「久しぶりの再会だろう、そう怖い顔をするな。妹が泣くぞ?」
「・・・用件はなんだ。さっさと済ませろ」
「そう急かすな・・・いい知らせだ。弟に会えるぞ?」
その言葉を聞いてもイタチの表情に変化は見られず、マダラは首をすくめるだけだった。
「大蛇丸の居場所が大体わかった。・・・一ヵ月後だ。サソリとペアを組んでもらう。いいな?」
「・・・わかった」
「・・・ああ、そうだ。あともう一つ」
付け足すようにマダラが口を開く。
「どうやら木ノ葉の人間も大蛇丸の居場所を嗅ぎつけたらしい。ま、断定はできていないらしいが」
「・・・」
「近々、捜索するらしい。鉢合わせないことを祈っておこう」
そう言って、マダラは闇夜に姿を消した。
―――同日・木ノ葉隠れの里。
「―――大蛇丸について、暗部から情報が入った。なんでも、居場所がわかったらしい。特定はできていないらしいがな」
「大蛇丸の?」
「そこでお前に行ってもらいたい」
「・・・」
「頼めるか?―――カカシ」
五代目火影である綱手の問いに、カカシは「はい」と答えた。
「そこで、だ。クロを連れて行け」
「・・・は?クロを?」
「ああ。アイツが信用に足る人間かどうか、お前が見極めろ。私もお前の報告を聞いて、アイツを信用するかどうか決めることにする」
「・・・ですが、綱手さま。クロは不定期で、いつここに来るかわかりません。まさに気まぐれとしか・・・」
「ふん・・・じゃあ、私が“来ない”ほうに賭けよう。はは、心配するな。私の賭けはよくハズれる」
「・・・わかりました。ではクロを連れて、大蛇丸の捜索にあたります」
「一ヵ月後だ。頼んだぞ」
『あなたがいない場所』
“もし私が死んだなら”