第30章 あなたがいない場所
呪印が大蛇丸につけられたものだとイタチたちにバレて数日後。
私は、久しぶりの木ノ葉の里に来ていた。
「久しぶりねー、ここに来るのも」
『ハル、大丈夫?』
「何が?」
『いや、だって・・・サスケはもう・・・』
「別に気にすることないわ。サスケは里を抜けただけで、会いに行く場所が変わるだけだから。・・・まあ、多少は性格も変わってくるかもしれないけど」
久しぶりに木ノ葉の地を踏む。
あいかわらずにぎやかな里だ。
人一人いなくなったところで、所詮、他人には関係のないことなのだ。
「これでうちは一族は里には一人もいなくなっちゃったわね。生きているのは私たちきょうだいと、うちはオビト・・・か」
『“うちはオビト”?』
「前、私がバレンタインのチョコ食べて、グルグルの面の人に吐いちゃったでしょ?あのグルグルの人よ」
『あー・・・』
思い出したようなスイレンに「気をつけなさいよ」と付け加える。
「深入りするとろくなことにならないから。関わらない方がいい」
そう言うと、スイレンは特に興味もなさそうに『ふぅん』と返事をした。
そして、思い出したように私に聞いた。
『今日は何の用でここに来たの?』
その質問に「んー」と、少し考える。
「・・・特に考えてなかったかも。敢えて言うなら、サクラちゃんの様子を見に来たかな」
『えー?あ、じゃあさ、団子食べにいこうよ!大丈夫、僕のお金があるから!』
「私の話、聞いてた?まあいいや・・・あとでちゃんと行くからね?」
『わかってる!さ、乗って』
甘いものが食べれると決まり、上機嫌なスイレンに乗ると、行き先は決まっているのか、スイレンは迷う素振りも見せずに歩き始めた。