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うちはに転生しました。

第29章 スイレンとイタチ














うちはサスケが抜け忍となって数か月後。


イタチは弟であるサスケの身を案じながらも、行動を起こすことはできなかった。

弟が大蛇丸の手に落ちたのなら、大蛇丸の狙いはもう分かっている。

サスケの身体がほしいのだろう。

あの男は以前、イタチの身体を狙ってきたことがある。

結局、イタチの実力が大蛇丸を上回り、居づらくなった大蛇丸が暁を抜けた―――というのも事実。


そしてここ最近、イタチの身体にはある症状が現れつつあった。


「―――ゴホッ、ゴホッ・・・!」


(最近、咳がひどくなってきたな・・・まあ、それだから出かけるのだが)


妹が必要以上に心配するので、これ以上心配をかけまいと、薬をもらいに行くことにした。


「じゃあ、ハル。行ってくるよ」

「うん・・・いってらっしゃい・・・」

「はは、寝ぼけているのか?お前はあいかわらず朝に弱いな・・・」


用事は早く済ませておきたいので、いまだ寝ている妹の頭を撫でたあと、アジトを出た。

今日は“暁”としての活動ではないので、目立たない普段着だ。

自分の用事で出かけるのは久しぶりだ。

そのことに気付いて少し苦笑いをすると、森を抜けるため、地を蹴った。



















森を抜けると、来たことのない賑やかな小さな町に出た。

思ったより人が多い。


(長居するのはあまり得策ではないな)


そう考え、マントについているフードを深くかぶる。

早いところ用事を済まそう、と足を踏み出したとき、後ろから声がかかった。


「あれ?アンタ、何してんの?」


聞き覚えのある女の声だったが、どこで聞いたかまでは思い出せなかった。

警戒しながらも、ゆっくりとふり返る。

すると、目に飛び込んできたのは、予想外の人物だった。


「・・・お前は・・・確か、“スイレン”・・・だったか?」

「ちょっと、いきなり呼び捨てとかやめてよ、馴れ馴れしいな」


何度か見たことがある。

いつもハルの傍を離れない、オオカミ。

このオオカミは何度か人間の姿になって、イタチたちの前に現れて意味深なことを言って消える。

ハルが寝ている間に、ハルについてのことを、だ。


「・・・お前、何でここにいる?」

「見たらわかるでしょ。団子買いに来たんだよ」

「・・・そうか」




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