第28章 途中
―――翌朝。
「おい、ナルト!!起きろ!!」
「んあ・・・?」
寝起きのナルトを、誰かが激しく揺さぶった。
聞き覚えのある声だった。
「んだってばよ・・・シカマル・・・朝からうるせーぞ・・・」
「おい寝ぼけてんじゃねえ!!サスケが里を抜けた!!これから連れ戻しに行くぞ」
「・・・ああ?」
ぼんやりとした頭でその言葉を聞く。
サスケが里を抜けた・・・?
それ、昨日聞いたってばよ――――。
「なんだよ・・・そんなに騒ぐことじゃねーだろ。たかが里を抜けただけで」
「はあ!?お前、自分が何言ってるかわかってんのか?里を抜けたんだぞ!!」
「・・・そんなに一大事なのか?」
「当たり前だ!いいから早く着替えろ。今は時間が惜しい」
必死な形相をしているシカマルに、ナルトは渋々といった様子で着替えだした。
「お前が何でそんなに落ち着いてるのか知らねーけど、お前、里を抜けるっていう意味わかってるのか?」
「もちろんわかってるってばよ。えーと・・・犯罪者になるってことだろ?」
昨日、サスケもそう言っていた。
ナルトが身支度を整え終えると、シカマルは部屋の窓枠から外に飛び出した。
「おいシカマル!お前、窓壊したな!?」
「仕方ねーだろ。緊急事態なんだ」
文句を言うナルトを無視し、シカマルは集合場所に向かっていた。
「つーか、ナルト。わかってるなら何でそんなに落ち着いてんだ!?・・・いいか?里を抜けるってことは、犯罪者になるってことだけじゃない・・・アイツは、木ノ葉の敵になるんだぞ」
「・・・え?」
ナルトは少し目を見開き、固まった。
「知らなかったのか?」
「いや・・・だって、サスケのやつ、そんなこと一言も・・・」
「・・・お前、サスケから何か聞いてたのか?」
思い返しても、サスケはそんなことは言っていなかった。
「うん・・・昨日、ちょっと・・・」
思わず、シカマルの口からため息がこぼれる。
「・・・ったく、お前ってヤツは・・・そこまで考えが回らなかったのか?」
「だって!! ・・・アイツ、そんなこと・・・」
「ハァ・・・まあいい。とりあえず、サスケを取り戻す。いいな?」