第27章 「オレにとって」
クロが出て行ったあと、スイレンは『ねえ』とサスケに話しかけた。
「なんだ」
『抜け忍になるの?』
「・・・ああ」
『そんなに、妹さんの仇がとりたいんだ』
「ああ」
サスケはベッドに腰掛け、窓の外を見ていた。
『写真は?片付けたの?』
「いや・・・そこにある」
『へえ・・・ま、頑張りな。お前のその中にある憎しみが、ここからどうなるか・・・僕は楽しみだよ。ククッ、せいぜいおもしろいもの見せてよね』
「・・・お前も、相当だな。クロの前ではあんなくせに」
『好きに言うといいよ。ただ、僕は好きなようにしてるだけ。そういうお前だって、クロがあっけなく出て行って、寂しそうな顔してたじゃん』
「は?別にフツーだろ」
『心配しなくても、クロはお前にまた会いに行くつもりだろうよ』
「はっ?おい、それ、どういう、」
『あ、死なないでよね。お前が死ぬとこっちが困るんだよ』
「おい、意味わかんねーよ。てか、さっきの、」
『あー、もううるさいな。じゃあね!!』
乱暴に言い捨てるように言ったスイレンは、そのままドアを開け、クロを追うようにして出ていった。
サスケは並んでいる写真立てを見つめた。
写真に映っているのは、サスケを睨んでいるナルト、そっぽを向いているサスケ、その間で嬉しそうに笑っているサクラ、そして、サスケとナルトの頭に手を置いて苦笑いのカカシ。
そして、もう一枚の写真は、クロがふざけて撮ったもの。
ピースをしているクロの隣で、照れたように口をとがらせているサスケ。
そして、もう会うことのできない妹の写真。
「・・・オレは里を抜けることにしたよ、ハル。お前なら、今のオレを見てどう思うだろうな」
もう会えない妹に誓う。
「オレが、アイツを殺す。必ず仇をとるからな。だから、待ってろ」
写真を見ていると、いろんな思い出が蘇ってくる。
サスケは写真立てに手を伸ばすと、静かに呟いた。
「オレにとって、お前らは・・・」
「・・・本当に大切だった」
『オレにとって』
“静かなる決別”