第24章 中忍試験 3
あれから約一か月後。
「いやー、また戻って来たね、スイレン」
『キミ、懲りないね・・・ていうか、その“クロ”の姿もすっかりお馴染みだね』
「まあね。ここに来る以上、この姿は必要不可欠だから」
木ノ葉にやって来た私は、胸いっぱい空気を吸い込んで隣のスイレンに向けて言った。
『気を付けてね?キミ、結構目立つから』
「そんなことないよ。確かに、呪印をつけられたのは予想外だったけど、封印してもらったし・・・今回も目立った動きをするつもりはないからさ」
『キミがそのつもりでも、周りは違うと思うけど』
「さあ、どうだか?」
あのあと、イタチはもう何も言ってこなかった。
写輪眼を使って私の記憶を読むこともできるのに、それをしないということは、イタチは私の想いを汲んでくれた・・・ということでいいのだろうか。 でも、ひとまずは大丈夫だろう。
他のみんなも、拍子抜けするほど何も言ってこないので、もし何か言われたら何て言おう・・・と考えていた私が逆にバカらしく思えたほどだった。
「さてと・・・まずは三代目のところに行こう!」
『了解。じゃあ、僕の背中に乗って』
スイレンが申し出てくれるが、それをやんわりと断る。
『え・・・なんで?』
「今日は寄り道して行こうよ」
『寄り道?』
「うん。この前、いろいろ心配かけたお詫びに・・・スイレンの好きな甘いもの、買いに行こう」
そう言うと、スイレンはどこか落ち込んだような表情から一変、明るい表情で「うん!」と言った。
三代目は、火影室がある塔の屋上にいた。
姿はすぐに見つけられたものの、どこか話しかけるのが躊躇された。
人型のスイレンが幸せそうな表情で団子を口に頬張っているのを横目で見ながら、三代目に話しかけるタイミングを窺っていた。
「・・・スイレン、幸せそうね」
『うん!やっぱり甘いものって最高だよ。君も食べる?』
「いや・・・私はもういい。なんか・・・太りそう」
そんな会話をしていると、ふと視線を感じた。
「・・・?」
気になって振り返れば、
「あ・・・」
三代目がこちらを見ていた。
ニコリと笑顔を向けられ、慌てて頭を下げる。
そして、まだ食べているスイレンの手を引き、三代目の元へと向かった。