第21章 中忍試験
大蛇丸につけられた呪印の影響でサスケは苦しみ悶えている。
サクラはそんなサスケの手を握り締め、パニックになっていた。
「サクラちゃん・・・少し落ち着きなよ・・・」
私は木に体を預け、サクラに言った。
「だって・・・!!クロもその手じゃ・・・」
「大丈夫・・・私もいるよ。でも、しばらく動けないけど・・・」
ここまで移動できたのはスイレンのおかげだ。
やっと手を離してくれたかと思うと―――スイレンが人型になり、フラフラになっている私と気を失っているサスケ両脇に抱え上げて、木陰まで移動してくれた。
「うん・・・!」
「でも、ごめん・・・ちょっと休むね」
さっきまでスイレンが私の手を噛んでいたのは、呪印を“浄化”するためらしい。
ざっくり言えば、呪印の効果を薄くするらしい。
だが、いくらスイレンでも私一人が限界のようで、しかも、初めてやったのでもしかしたら一時的なものかもしれないとか。
スイレンは『出来る限りサスケのもやってみる』と言ってくれた。
心配そうに私を見つめるスイレンに笑いかけると、私はそのまま目を閉じた。
――――夜が明けても、クロは目を覚まさなかった。
「サスケくんも、ナルトまで・・・どうしたらいいの・・・」
サクラは一人、そう呟いた。
今、動くことができるのはサクラだけだ。
一応周りにはトラップを仕掛けておいたが、今は眠気に耐えていた。
「眠い・・・けど、寝ちゃだめ・・・」
サスケも辛そうに息をしているし、ナルトは意識が無い。
「大丈夫」と言ってくれたクロも、今は抜け殻のように意識が無い。
クロといっしょにいる“スイレン”は起きているが、サクラは頼りになるのは自分だけだと自分自身に言い聞かせていた。
すると、サクラの目の前に、一匹のリスが突然現れた。
「あっ・・・!」
慌ててリスに向けてクナイを投げる。
逃げて行ったリスを見ながら、サクラは泣きそうになるのを必死に堪えていたのだった。
『中忍試験』
“私が、守らなきゃ”