第18章 イナリの叫び
―――遡ること、二十分前。
「あー・・・本当に今日なのかな・・・」
クロはツナミに「出かけてきます」と言ったあと、暇つぶしに散歩をしていた。
向かう先はタズナが作っているという橋だ。
(もし、本当に今日なら、これから橋で戦いが始まるんだよね)
「それなら、私も行って本体と合流するべきか・・・?」
しばらく歩いていると、後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。
「おい!」
「・・・え?」
振り返ればそこにはナルトがいた。
「え・・・何してるの、ナルトくん」
「お前こそ、何してるんだってばよ!さっき、イナリん家が変な奴らに襲われちまって・・・!とにかく橋のほうもヤベーんだよ、多分!」
「じゃあ・・・」
本当に今日だったんだ。
じゃあ、本体の私はそれに気づいてるはず。
作戦決行ってことね。
即座に理解して、走り出そうとするナルトに声を掛ける。
「私も行く!」
「はあ!?お前、何言ってんだ!」
「ナルトくんが行かないなら、私、先行ってるから!」
驚いたような表情のナルトを背後に、私は先に走り出した。
すると、数秒もしないうちに横にナルトが並ぶ。
「オレが行くからにはもう大丈夫だってばよ!」
「・・・うん!」
多分、本体の私は「はあ!?」と盛大なリアクションをするだろう。
私のことだから、簡単に想像が出来た。
そして橋に着いた途端、ナルトはクナイを投げ、大きな声で言った。
「うずまきナルト、ただいま参上!」
・・・その時のカカシの痛い目線は一生忘れることはないだろう。