第15章 “自己修復”というもの。
「おはよう、サスケ。今日、学校だっけ?アカデミーだっけ?忘れた、まあ、行かなくていいの?」
あれからサスケは朝まで目を覚まさなかった。
そして私は、ぐっすりと眠るサスケの寝顔を枕元で、飽きることなく見つめていた。
「・・・休みだ」
サスケは私の問いに短く答えると、布団からもぞもぞと顔を出した。
そしてサスケは、「あのさ、」と寝ぼけた声で呟くように言った。
「・・・久しぶりによく寝れた気がする・・・。お前がいたから・・・かもしれない・・・」
そういえば、サスケは昔から寝起き悪かった気がする。
寝ぼけているのだろうけど、その言葉は素直に嬉しかった。
だけど、代わりに何とも言えない罪悪感が胸の奥で広がる。
だって、騙してるみたい。
「・・・うん」
(ごめんね、サスケ兄さん。“ハル”として会えなくて)
『クロ、迎えに来たよ』
「スイレン!昨日はごめんね」
しばらくして、サスケがようやく布団から出てくると、スイレンがちょうど来た。
人型のスイレンの白い髪が何だかまぶしい。
「・・・何か、髪の毛まぶしいわ」
『ええ・・・?』
そんな会話をしながら、玄関でスイレンをいつまでも待たせるわけにはいかないので、私も靴を履く。
「・・・帰るのか」
「うん。今日は、サスケの寝顔見れて良かったよ。そんな顔しなくたって、また会いに来るから」
私が笑ってそう言うと、サスケは違う、とか、うるさい、とか言っていたけど、心なしか少し笑っていた気がする。
「じゃあね」
「・・・ああ」
外に出て、オオカミの姿に戻ったスイレンの背中に乗ると、胸の前で小さく手をふる。
それを確認したスイレンは、少し早く歩き出した。