第13章 冬と金色の少年。
「ナルトくん!」
何してるの、とオレに聞いてくるソイツはこの前出会ったばかりで、暇なのか、最近やたらと話しかけてくる。
オレがみんなに嫌われているのを知らないのか、突然オレの世界に飛び込んできた。
「あ、また授業サボったの?」
オレより年下のくせに。
何でコイツはこんな風に笑うんだってばよ。
例えるなら、あのサスケみたいな感じ。
何か、大人びてる。
「ナルトくんは太陽みたいだよね」
一度だけ、そう言われたことがある。
オレのどこを見て言ったのかは知らないけど、でも悪い気はしなかった。
何でそんなこと言うんだ?と聞くと、何となく!と返された。
で、いつもニコニコ笑ってるアイツの横には決まって白くてデカイオオカミか、これまた白いネコがいる。
ソイツは一時もアイツの側を離れずに、べったりだ。
そのくせオレには触らせてもくれず、思い返せばソイツに直接触ったのはオレとアイツが初めて出会ったときだけだと思う。
「んー、秘密!」
これはアイツの口癖みたいなもんだ。
どこの出身?どこに住んでんの?お前アカデミー行ってねえの?
結構な質問をしたけど、返ってきた返事は全てこれだった。
でも、一度だけ違う答えをしたときがあった。
それは、オレが「お前、親は?」と聞いたときだった。
いつもなら決まって言う台詞をアイツは言わなかった。
代わりに空を見上げてこう言った。
「私ね、両親はいないんだあ」
「死んじゃったの。まあ、殺されたって言った方が妥当かも」
「人じゃないの。“里”にね」
とても軽々しく言えるような話じゃないのに、アイツはオレに言った。
ダトウって何だ?と聞きたかったけど、アイツに聞けるような雰囲気じゃなかった。
「ふうん。なら、オレと一緒だな」
と言うと、
「うーん、どうだろう。ちょっと違うかも」
とアイツは笑った。
アイツは謎だ。
分からないことだらけのアイツだけど、オレより年下で―――オレの初めての友達。
アイツの名前はクロ。
人にしては珍しい変な名前だけど、クロほど優しい人間をオレは知らない。
『冬と金色の少年』
“繋いだ手のひら”