第1章 プロローグ
声がする。
途端に視界が明るくなるが、何故か目は開けれない。
そして、自身から発する「おぎゃーおぎゃー」という声。
(・・・・・・・・・・え?)
「よく頑張ったな、ミコト。」
「・・・ええ」
二人の夫婦が手を握りながら、微笑んでいる。
女性は辛そうながらも、どこか嬉しそうだ。
「元気な女の子だ」
「・・・まあ、私にも見せて下さいな」
そう言って、いまだ泣いている赤ん坊をそっと抱き上げる。
「可愛い。名前は何にしましょうか」
「・・・そうだな・・・。もう考えてあるのか?」
「ええ。この子の名前はハル。この子にぴったりの名前だと思わない?」