第11章 ネネの正体。
数ヶ月後。
『ハル!!』
「えっ、えっ、何!?」
それは唐突だった。
『ちょっ、行くよ!』
「えっ、えっ?」
それまでネコの姿だったスイレンは急にオオカミになって、強引に私を乗せるとそのまま勢いよく走り出した。
せっかくみんなで話していたのに。
後ろから私の名前を呼ぶ兄の声がした。
「・・・で、どうしたの?ちょっと」
『ネネがちょっと死にそう』
「は!?何それ、どういう・・・まあいいや!助けに行くよ!!」
『・・・ハルなら、そう言ってくれると思ったよ』
全くといっていいほど状況は分からなかったけど、スイレンが焦っているのとネネがとにかくヤバイということだけは分かったので、着いていった。
どこかも分からない森の中をひたすら私を乗せて走るスイレン。
すると、ふと上を見上げ木の上に登った。
『ネネ』
ここにネネがいるのかな。
『ネネ。僕だよ。出ておいで』
『・・・あ、主様・・・?』
スイレンがそう言うと、震えたような何かに怯えたような、ネネの声がした。
「だ、大丈夫?ほら、おいで・・・?」
ネネのいつもの元気な様子はなく、私が両手を広げると、おずおずとぎこちなくこちらへ来た。
そして、ネネの身体を持ち上げるとネネはギュッと縮こまった。
(・・・――あ、)
「ネネ、どうしたの・・・?」
(震えてる)
すると、前方から何人かのチャクラを感じた。
「・・・何か来てる」
『・・・ネネ、下がってな』
私はネネの目が前に向かないようにそっと目を覆う。
そして、不思議そうにしているネネの目を覆う自分の手をどけると、ネネと目を合わせた。
「ごめんね、ネネ」
『―――!?』
一言謝っておく。
目を合わせた瞬間、ネネの目から光が消える。