第7章 帰ってきました。
《・・・ハル、大きくなったわね》
「・・・うん。あれから、二年経ったから」
《もうそんなに・・・》
「・・・母さん」
《うん・・・?》
「ご・・・ごめんね」
《・・・どうしたの、急に》
私の頬に手を当て、涙を浮かべていた母だったが、私が謝罪の言葉を口にするとキョトンとしたような顔をした。
「・・・わ、わたし・・・じゃなかった。ハルね、イタチ兄さんに着いて行ったの」
《・・・うん》
「サスケ兄さん・・・ひとりぼっち、なの・・・」
《うん》
「ごめんね・・・」
頬に涙が伝う。
(・・・ああ、もう、なんでこう泣き虫なんだろ)
涙を拭うこともせず、ただ、呆然と立っていた。
《ハル》
「・・・」
《やっと泣いてくれたわね。良かったわ》
「・・・え・・・?」
《私がハルの泣くところを見るのはこれで二回目なんだけど、何だかホッとしたわ》
一回目は、あの夜。
二回目は、今。
「・・・何で・・・」
《ん?》
「・・・何で、今そんなこと言うの・・・普通、何かこう・・・違うくない・・・?」
《ふふっ、外見だけじゃなくて、中身も成長したみたいね?》
「・・・・・・」
《って言っても、もう私は死んでるから・・・。ごめんね、何もしてあげられなくて》
「・・・ううん、ハルは、」
《ハルは優しいから。小さい時から、いつも自分のこと後回しにして。サスケのこととか、イタチのことを優先にしてた》
「・・・ちがう・・・」
《ううん、違わない。だからね、もう少し、自分のこと大切にしてもいいと思うわ。・・・もう死んだ私が言うことじゃないけど。私はね、ハルにもっと自分のこと大切にしてもらいたい》
「ハルは、もう十分だよ」
《・・・ハルが、イタチやサスケを大切に思うのと同じように・・・母さんや父さんもあなたのこと大切に思っているの》
「・・・ん・・・」
《・・・あなたは、父さんに似て頭がいいから。私が言いたいことはちゃんと分かるはずよ》
「・・・・・・・」
《・・・妹のあなたにこんなこと言うのもどうかと思うけど・・・サスケと、イタチのこと、頼んだわよ》
母はそう言って、涙をこぼしながら私を抱きしめた。