第5章 合宿準備
「そのままの意味・・・?」
「孝支くんには、伝えておくね。
覚えてないかも知れないけど、6年ぐらい前かな。夏休み前に東京でトラックと人が数人事故を起こしたって話。」
「まさか、その中に・・・」
「うん。あの日高校のインハイの試合があったらしくて、私は友達とお母さんと一緒に行くつもりだったの。友達は先に行ってて、私はお母さんと一緒だったの。それで、信号が青になるのを待っていたら急にトラックが私たちの方に突っ込んできて・・・。私はお母さんが守ってくれたから死ぬことはなかったんだけどね。」
「そうだったんだ。」
「これは全部目撃者の人と、おばさんから聞いた話。私その時の記憶がないから。」
「記憶がないってその時だけ?」
「ううん。その事故が起こる少し前って言うか、東京に行ってからの記憶が全然ないの。一部的な記憶喪失って感じかな?」
「そうだったんだ。ごめんね。イヤなこと言わせちゃって。」
「まだこれくらいなら大丈夫だよ。」
「そっか。俺で良かったらまた相談してよ!力になるからさ!!」
「ありがとう、孝支くん。あ、もう時間遅いし帰らないといけないんじゃないの?」
「あ、そっか。もうそんな時間か・・・
じゃあ、帰るね!また明日!バイバイ!!」
そう言って孝支くんは帰っていった。
孝支くんにこのことを話して良かったのかな、少し後悔してる自分が居るし、言って良かったって思う自分も居る。
「言っちゃったことは仕方ない・・・よね。
明日もあるし早く寝ないとね。」
私はやることだけやって布団に入った。