第5章 指輪滑伝〔黒〕(逆ハー夢)第一章
そんなまさか。
ここは…三国無双の世界?
ありえない。
だってさっきまで姉の部屋にいたはず。
テレビが見えにくいから、ちょっと持ち上げて移動していただけなのに。
その証拠に、私は広い道の真ん中でテレビを抱えたまま茫然としている。
そんな私を尻目に、足元には何かが転がった。
それは黒メノウの指輪だった。
「姉さんが言ってた、魔法の指輪…」
確か、強い衝撃を受けると無双の世界へひとっ飛びとか中二病なことを言ってた。
まさか、ほんとのほんとに本物だったのか!?
私はその場にテレビをゆっくりと降ろすと、指輪を見つめたままへなへなと座り込んだ。
こんなの、ありえないよ。まさに想定外だよ。
「うん、こんなことあってはならない!」
私は、さっさと現実に戻って記憶の中からなかったことにしようと思って、再びテレビを持ち上げた。
その途端、背後で低いうなり声が聞こえた。