title:私の遍歴
「君は少しオカシイ」
そう言ったのは馴染みのバーのオーナーだった。
小さなバーだ。バーカウンターとテーブルが1個だけ。MAX入っても10人いかないだろう。
「オーナー、これかけていい?」
「他のお客さんが来るまでだったら」
「りょーかい」
私は小さなUSBメモリーをお店の奥にあるオーディオプレイヤーに差し込む。
聞きなれたロックが流れる。先ほどまでのジャズの似合う小洒落た雰囲気は一気に吹き飛んだ。
吹き飛んだと言うよりぶち壊した。
私は音楽に合わせて頭を振る。口ずさみながら先ほどの席に戻る。
私の指定席。バーカウンターの一番奥。
目の前の半分ほどにリキュールなどが置かれ、多分座らない席。
呆れ顔のオーナーが煙草に火をつける。
女性のような銘柄のそれはこの優男顔によく似合う。
「今日も荒れてるね」
「まあね、これでも頑張ってやってんの」
目の前のギムレットを一気に胃に流し込む。アルコールがのどに通る刺激。
「研究成果は?」
研究。オーナーがそう表現したものは言葉とは程遠い薄っぺらい、単純なことで人間の欲望の塊みたいなものだ。
目の前に男女がいるとしよう。
現段階では友達かもしれない、ただの知り合いかもしれない。もしかしたら知らない人なのかもしれない。
憎むべき相手なのかもしれないし、陰ながら想いあってるかもしれない。私の場合、想わないので想い合う事はないが。
それが2人きりになったときどう変化するんだろう。肌を重ねたとき、どうなるんだろう。また、その後はどんな関係になるだろうか。
それが私にとって非常に興味深いことなのである。
人の興味への欲と言うものは計り知れない。
私は自分の身体というリスクがあるはずだ。
それなのにその単なる興味だけのために好きでもない相手に身体を委ね、抱かれることに抵抗がなくなった。
面白い。そう思うだけで何だって出来る。
それを知ってるのはオーナーだけだし、それ以外に教えるつもりもない。
確か、それを研究しようと意識し始めてから4人目に彼を狙ったのだ。
彼は私がギリギリまで迫ったところで自分の恋愛対象も性対象も女性ではない事を私に告げた。
余計に興味がわいたものだから理由を説明して一度で良いからとお願いするも無駄だった。
結局彼は私の知識欲を埋めることはせず、今はこうして研究を共有する仲になった。
「そういえばこの間の同窓会、どうだったの?」
「意外といけるかもね。今までの被験体居なかったから余裕だったわ」
被検体とは言葉通り、試験・実験の対象となる人。つまりこの場合は肌を重ねた相手だ。
この同窓会の関係者には既に3人。彼らがこの事実を知りえないよう学生時代全く異なったグループに居たであろうものを選んだ。
そして同窓生で言えば4人目、被験者で言えば13人目の対象者とコンタクトが先ほど来た。
comments:
今プロフィールにある小説予定の学園モノの原点。
一番最初は学園要素ゼロだった。
新しいリクエスト型小説のリクエストが全然来なかったらこの学園モノを公開して進めていくつもりです。
内容どおりR18になるか、その辺濁して一般にするかまではあまり考えてないです。
とりあえず今のところ(此処では未公開ですが)7話まではあります。その段階ではR18まではいかない状態です。