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Swear to you...

第7章 Secret Circus


袖から出てきたジョーカーは不敵な笑みを称え持っていたステッキを器用に指で回し、床に叩き付けた。それが合図だったのだろう。ステージがライトで照らされそこにはカラフルな道化師を思わせる衣装や仮面を付けた子供達が横一列に並んでいた。

「ようおこしやした、ファントムハイヴ伯爵。今宵は特別に貴方をめくるめく歓喜の世界へとお連れ致しますえ」

調査の一環で見たあのサーカスのパフォーマンスをこの子供達で行うということなのだろうか…。
「まずは綱渡りにございます」
並んでいた子供達は舞台袖に捌け、フリルが特徴的なショートドレスを身に纏う少女が天井に近い所にある端から端へと伸びるロープが取り付けられた板の上に立っていた。
バランスを保つ為の棒を水平に持ち少女はロープに足をかけた。
「命綱などは一切なし。正真正銘の」
ジョーカーが言い切る前に少女は足を踏み外し床へ叩き付けられ、頭を、割った。
「な…」
異常だ。こんなこと…。
が、その異常を心から楽しんでいた人間が一人。
手を叩き歓喜の声を上げるケルヴイン男爵だ。

「お次は猛獣使い。獰猛なライオンを見事―――」

鞭を持った少年の頭からライオンが食い、男爵の笑い声が響く。
それに合わせジョーカーの声も高くなっていく。私はこの時ジョーカーが悲痛に叫んでいるようにも聞こえた。
「さあ…!お次はナイフ投げ!磔の少女の運命やいかに?!」
少年がナイフを高く上げ投げようとした、その時。

「止めろセバスチャン!!」

坊っちゃんの声がしたその瞬間セバスチャンがナイフを指で受け止めていた。
私はセバスチャンの側へと駆け寄り仮面を外し、調査書と照らし合わせる。
「コーンウォール地方で行方不明になっていたエラリー・ニクソン…に、間違いありません」
「流石は坊っちゃん。誘拐した子供達を“そのまま”出演させる。成程、サーカスにはこの様な楽しみ方もあるのですね」

楽しいものか、こんなもの。
夢虚ろなこの子供達は、果たして元の…元気に走り回る表情豊かな子供に戻るのだろうか。

「ごめん!これも気に入らなかった?!ジョーカー!すぐに片付けて」
男爵は坊っちゃんの機嫌を取りたいとばかりにあわてふためいていた。

「もう、やめた」
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