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オンナナレさせてみせますから

第9章 初めましては煩くなります



「…早く静かになってくれないかなぁ」

宴のにぎやかさは頑張って寝ようとしているには少し辛いものだ。
全然眠くもないと主張する瞼を必死に閉じようとしているのだ。にぎやかなその雑音と化したそれはただ単なる不愉快を招くもの以外の何物でもない。


しばらくするとドタドタと廊下をせわしなく誰かが走り抜けるような音が聞こえた。はふすまの方を見ていなかったので人型は確認できなかったが、あの足音は幸村ではない。ましてや佐助なんてことはありえないだろう。
なら信玄だろうか、なにがあったのかと気になったが変に外に出るのは嫌だ。こんな格好で誰にも会いたくないと若干ニート的な雰囲気だがもうどうでもいいと思っていた。

「ちょ、ちゃんっ」

「?!」

突然目の前に佐助が現れたかと思うと口をふさがれて悲鳴を上げるにも上げられなかった。それより佐助のあわってぷりに驚いてしまった。あれほど感情を露わにしてはいけないはずの忍びがこれ程焦るなんて、紀州でもあったのだろうかとは不安になった。
するとまたダダダッと誰かが走り抜ける足音。それが過ぎると佐助はを起こした。

「ごめんね急に」

「え、も、もしかして戦…?!」

「違う違う、まぁある意味それよりも厄介かもしれないけど」

じゃあ何がと聞こうとすると佐助は頭の整理が追いついていないを横抱きにし、屋根裏の方へと引っ込んだ。

「なっ何があったの?」

「…しっ、静かにして」

何も教えてくれない様子の佐助を見て、妙な胸騒ぎがした。まさか、本当に戦なのだろうかと。だがそれにしては屋敷内がそれほどあわただしくない。
信玄が動いているのならもっとざわついているだろうし、何より幸村も此方に駆けつけてくれるだろう。

「真田ァっ!おい!客人ってのは何処だ!」

「某についてこないでくだされ!!」

と、またの部屋の前を通り過ぎていく。

「…あぁ、私を」

「そう、ね?厄介でしょ」

は呆れた顔で頷いた。


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