第5章 神が与えたもの
「これ言ったら、
アンの私を見る目が変わりそうで、
言い出しにくかったんだ。
……せっかく仲良くなれたのに、
気を遣わなきゃいけないと思われたら嫌で……」
強い握力とは裏腹に、
エマの声は弱々しく、
不安な気持ちが声だけで伝わる。
「私たち友達でしょ?
そんな深く考えずに、
もっと何でも話してくれて良かったのに。」
「……友達?」
エマに聞き返され、沈黙する。
……ん?
友達だと思っていたのは自分だけなのか?
エマは私と友達だとは
思っていないのか?
いや、まさか……
こんなに頻繁に会って、
勉強だけではなく
色んな話もしていたんだから、
友達と言っても過言ではない筈だ。
………だが、
もしそれが私の思い違いなら
これはかなり恥ずかしい状況
「ありがとう。初めて友達が出来たよ。」
私の心の声を遮るエマは、
花が咲いたように微笑んだ。