第5章 神が与えたもの
「ありがとう。
でも、アンと一緒に働けるのも
楽しみにしてたから……」
「大丈夫。
基地はそんなに遠くないんだし、
休みの日は会えるよ。」
今にも泣き出しそうなエマの肩を
優しく摩る。
「それに、
憲兵団の料理人になれたなんて聞いたら
両親も喜ぶんじゃないの?」
そう言った途端、
エマの表情が少し曇った。
……あれ、
何かマズイことを言ったか……?
俯くエマに視線を向ける。
「………あのね、
隠すつもりはなかったんだけど……
あの店の店主は、
私の本当の親じゃないんだ。」
エマは少しバツが悪そうに話し出した。