第20章 第31層~第40層 その2 "彼と彼女の一日"
「はい、どちら様――って、ヴァレリア!?」
リザが扉を開けた先にいたのは男
身長はユウとミヤコを越える長身
彼等の仲間の中で最も長身のシンジすら越える程であった
ヴァレリアと呼ばれたこの男―神父のような服装である
という事は、彼がリザと共に子供達の保護をしているのか、という憶測は二人にも出来た
「すみません、リザ。イザークを見付けられなかった所か、こちらのお嬢さんに助けて頂いてしまいました」
そう言ってヴァレリアは自らの下方にいる存在を示唆する
二人が目線を動かした先にいたのは、彼と正反対の体躯であるユウとミヤコの仲間にして友人―
「エリー!?」
エリーであった
彼が余りにも長身である故、そちらに目が行ってしまい気付かなかった
「迷ってたし、モンスターに襲われてたから」
「貴方…まさかフィールドに出たの?ロクに戦えもしないのに?」
「あぁいや、もしやと思ってほんの少し外に出ただけですよ」
「大分奥にいたよね」
「いえ…それは…」
エリーの突っ込みにヴァレリアは言葉を詰まらせてしまう
そんな光景を目の前にリザは溜め息を吐くしかなかった
「イザークはもう帰ってきてます。こっちの二人が見付けてくれました」
それを聞いて漸くヴァレリアはユウとミヤコに気付いた
「それはそれは。イザークが迷惑をかけたようで。しかし助かりました、ありがとうございます」
これまでの会話から読み取れる柔和な雰囲気
それらを向けられ、ユウとミヤコはまた恐縮してしまった