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SAOGs

第20章 第31層~第40層 その2 "彼と彼女の一日"


ユウとミヤコを招き入れたリザと名乗ったシスターはそのまま二人をダイニングスペースに通した
とは言っても、先の入口のすぐ近くなので簡単に席を通されたくらいである

「二人は何処から?」

言いながら、リザは二人の前に淹れたばかりの紅茶を差し出した

「三十四層、ですね。三十三層が例の聖槍十三騎士団のお陰であっさりクリアされたし、少しあやかって休息でも取ろうって事になりまして―」

「で、折角だし、ここら辺で初心を見つめ直す―じゃないですけど振り返りでもしようかなって。だからわざわざ引っ張り出したんですよ」

「箪笥の奥にあった服みたいに言わないでくれるかな、君は」

今の二人の発言に何か思う所があったのか、リザの瞳が僅かに揺れた
しかし、本当に僅かであった故、ユウとミヤコは気付かなかった
二人はそれ以上にダイニングスペースの先、廊下であろう空間から覗く幾人もの子供達の方を見ていた

「あの、あの子達って―」

「普通のプレイヤー、普通の子供達よ。本来はただ楽しいだけのゲームが、ああなっちゃったじゃない。でも、子供達には戦って生き残って…なんて辛い筈よ。だから私と、あともう一人いるんだけど、二人で子供達を集めて終わりまでここにいようってね」

二人は彼女の言に納得した
考えてみれば戦いに出ているプレイヤーは皆、どんなに若かったとしても同年代くらいだ
それはたまたま自分達が戦えるだけの覚悟と、戦えるだけの肉体を持っていたが故に他ならない
そのどちらも戦いにおいて必要不可欠だ
そして前者の欠落よりも、後者の欠落が子供達
ステータスやスキルといった補正があったとしても、彼等だけで生き残るのは難しいだろう

だから自らが生きる事よりも、誰かを生かす方をリザは、そしていまだ見ぬもう一人の人物と共に選択した
これこそが彼女等にとっての戦いなのだと二人は感じ取った

「何て言うか…単純に凄いな」

ミヤコはそれを思わず口に出すが、リザはそんな事はないとばかりに小さく笑った

「でも、二人みたいなクリアを目指す人達がいるからこそ、私達はこれが出来るのよ」

それ故に自分は満足である、というような表情をリザがした時、扉が二度鳴った
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