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SAOGs

第7章 第1層~第10層 その6 "Once More"


残り時間は少ないが、彼等は積極的に攻める
それがボスの足を止める事になるし、何より受け身に回るのが何となく嫌に感じたからである

顎を弾き、鞭を払い、脚と胴体を中心に斬っていく
ステータス差のお陰で二人の与えるダメージには差があるが、それを感じさせないシンジの食らいつくような攻めと、まだやれる筈だと加速するジンの攻めがボスのHPを削っていく

残りは15秒―しかしまだだ
それは二人の共通した思考であり、それを共有せずとも互いに理解していたからこそ、まだ彼等は残る

ボスもその攻勢を強め、顎が実質身体を共有しながらの自律行動をしているようにも見えてくる
しかし、だから何だと言うのだ
顎が自律行動を覚えたからと言って、作戦が失敗した訳では無い
真の作戦失敗は、死ぬ事だ
しかしそれでは倒せない、だから死ねないという理屈を押し通す為にも、今は死ぬ事も退く事も出来ないし、それを自分に許していない

あと7秒―まだだ
彼等の後ろから声が聞こえる
退けだの何だの言っているが、彼等の知った事ではない
むしろここから更にボスへの攻撃を苛烈にする
自分達が離脱するタイミングにボスが元気であっては困る
だから一瞬の怯みでも何でも良い、相手が止まるというのを一瞬でも長く続ける
だが、いざという時に自分がしくじらないように、自分が動く隙間だけは残しておく


残り4秒―まだだ

残り3秒―まだだ

残り2秒―まだだ

残り1秒―


「「っ!!」」

ジン、シンジ共に同時に走り出す
箱は既に落ちかけて、斜めになるがそれで諦める精神は持ち合わせていない
脚力にブーストをかけ、他のプレイヤー達のいる崖へ飛ぶ

箱が落ちる
二人は空中で届け、届けと念を放つように前へ進む

先に到達するはジン
やはりステータス差か、彼の方が速い
そして―シンジ
目の前に彼の仲間が、友がいる
友と誓った先の約束を果たす為、手を伸ばした彼の視界は真っ直ぐだった

しかし、彼の足に何かが引っ掛かり彼を奈落へ落とそうと勢いを止めた
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