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生きることに意義があるのです。

第2章 第1Q  話はちゃんと聞いてください


「おい、野球部入らねえかー!初心者からでもいいいからさ」
「ねえねえ!ブラスバンド部とかどうー?」
「サッカーにしとこうぜ!皆優しいからさ」
「バレー部見に来ない?」
さっきまでの入学式の静けさはどこに行ったのか、入学式の日だというのに早くも部活勧誘の大きい声が口々に聞こえてきた。まあ、新入生以外は基本部活は休日でも活動しているから、部活生がいるのもおかしくはないし、仮入部期間に関してはもう1年生の争奪戦が繰り広げられるから我先にと早めにとっておきたいのもわからなくもない。しかし_
「気が早すぎます...。」
こんなに人がごった返しをしていては、身動きができない。私としては早く寮に行って、自分の荷物を片付けたいというのに...。
これからは全てにおいて自分で賄わなくてはいけない。ここに来るのだって、全額免除の奨学金で来た。休みの日はアルバイトで稼がないといけないのに部活なんてしていれば稼げなくなる。さらに言うならば、部費が払えないのだ。だから好きな部活を選べるってことは凄く贅沢なことだと思う。何故、皆それに気づかないのだろうか。それのありがたさに。
そうやって、考えながら適当に流されるまま流されていたから誰かにぶつかってしまったのかもしれない。
「おい、ボーッとしてんじゃねえよ。危ねえじゃねえか」
よりにもよって、初日にガングロの不良にぶつかるなんて。これはヤバイ...。ヤバイです...。まさか、治療費出せ、だの言われたらどうしよう...。
「もお!そうやって恐い顔して睨んじゃダメでしょ!ホラ、このコ思いっきり恐がってるじゃん!」
「ああ?んなこたぁ、知るかよ。向こうがぶつかってきたんだろうが」
「女のコにそんな顔しちゃダメってば」
...助かった。目の前にいるピンクの美人さんに感謝だ。ガングロ不良さんも少し怒りがおさまってきたみたいだ。どうやら、この二人は仲がいいらしい。
「あの、さっきはぶつかってすいませんでした。どこかお怪我はありませんか」
「ああ、別にこれ位で怪我しねえよ。まあ、すぐに謝ったから許してやる」
少しでも遅くなっていたらどうなっていたのだろうか...。この人相なら、人を何人か殺していてもおかしくは...いや、失礼か。
「さっきは青峰君がごねんねー!これでも悪いヤツじゃないから。私は桃井さつき!で、こっちは青峰大輝君」
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