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生きることに意義があるのです。

第1章 第0Q  プロローグ


東京都 桐皇学園高校
入学式の今日、沢山の新入生で校門は溢れかえっていた。
「桜きれいだし写真撮ろうよー!」
「撮ろう撮ろうー!花のJKデビューだ!イエーイ!」
こんな感じに高校生デビューってだけで盛り上っている女子生徒もいれば、
「やっぱ、高校生っつったら部活だよなー!俺、甲子園でる!」
「お前は野球部か。俺は帰宅部かな」
「それは部活と言わねー!」
と、部活の話で盛り上がる男子生徒もいる。
入学式での緊張した空気からやっと解放されて“入学式”という言葉の余韻に浸っているのである。
そんな私自身もこの新しい生活が始まろうとしていることに対し、少なからず期待と希望で高揚感に浸っていた。少なからず、だ。周りにいる生徒達ほどでもない。
決して、嬉しくないという訳ではない。ただ、自分は他の人よりは少し、いやかなり感情が乏しいのである。
そうは言うものの、乏しいなりにも新しい生活への緊張もするし、ワクワクもする。
私は京都から誰にも頼らずに東京に一人で来たのだから、当然寮生活となる。もしかしたら、今ここにいる生徒達よりも私が一番新しい生活に対して気持ちが高ぶっているのかもしれない。乏しいなりにも。
だってこれからはきっと新しいこと続きなのだから。

「はじめまして。“真城甘奈”」
桜吹雪のなか私は青い空に向かって“私”に挨拶をした。
これから、“私”はどんな風に変われるのだろうか。もう、過去の私とはおさらばだ。
ただ、ただ私は変わりたい。昔のままでは駄目なのだ。変わりたい。
もう一度澄んだ青色を見上げた。

遠くから部活勧誘の声が聞こえてきた。


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