• テキストサイズ

脹相と恋愛〜大人〜

第10章 耳へのキス


脹相が耳を見る。

 そして、苦しそうに眉を寄せた。

「……駄目だな」

「何が?」

「我慢しようと思ったのに」

「……」

「お前がそんな顔をするから」

「どんな顔?」

「……困っているのに、完全に嫌がっているわけではない顔」

 図星だった。

 恥ずかしい。

 止めてほしいような、でも脹相が嬉しそうにしているのを見ると、もう少しだけならいいと思ってしまう。

「……だって」

「なんだ」

「脹相が嬉しそうだから」

「……」

 脹相が息を呑む。

「だから、止めてって言い切れない」

「……それは」

 脹相の表情が一気に複雑になる。

 嬉しい。

 けれど、それ以上に自制しようとしている。

「俺にとっては、かなり困る言葉だ」

「どうして?」

「そんなことを言われたら、続けたくなる」

「……うん」

「だが、お前が恥ずかしいのも分かっている」

 脹相が拳を握る。

「だから、どうすればいいのか分からない」

 そして、こちらを見る。

 その目がいつになく真剣だった。
/ 57ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp