第2章 大好きな人
そう、その姿はまぎれもなく昨日メールしてたけんだった。だけど、私から見えるけんはすごく汗だくで、席も一番後ろ。何でここにいるの?何でそんなに汗だくなの?もしかしてって私自惚れちゃうよ・・・。なんで・・・?
疑問だけが私の中に渦巻いて嬉しいのに、笑顔になれない。なんでだろう。大好きなけんが自分の目の前で自分の歌を聴いていてくれてるのに・・・。
「けんさん、来てるね。よかったじゃん、がんばろ!」
隣でみきが私に声をかけた。
とりあえず、今は頑張ろう。ごちゃごちゃ考えるのはあとにしよう。きっと、けんにも理由があった。だから、今ここにいる。
私だってけんのおかげでここに立ててるんだ。絶対に成功させて見せる。そう固く誓った。