第12章 全て元通り
椿は反射的に悟の胸元に拳を置き、強く体を逸らした。
それを許さない悟の手が椿の後頭部を掴み、自分の方へ引き寄せる。
キスを続けるうち、僅かに開いた椿の唇に悟の舌が触れると、椿は眉を顰めた。
それまでの時間など無かったかのように、悟は何度も椿にキスをした。
僅かに離れて息を吸い込む暇もなく、悟の唇が何度も触れた。
そのキスがさっきまでの距離を埋めようとしているようで、椿の苛立ちは段々と大きくなった。
突き放すなら、最後まで突き放せばいいのに。
どうしてこの男は私の心をかき乱すのだろう。
悟の勢いは止まらず、椿の背中が後部座席のドアに押しつけられた。
その時に、ようやく戸惑っている昴が運転席のドアを開け、後部座席の二人を見た。
昴の姿を確認すると、悟は椿の腰を掴み、自分と向き合うように膝の上へ乗せた。
後部座席に深く腰掛け、逃げようとする椿の背中を抱きながら、その肩越しに昴を見た。