第6章 魔術師編
その夜、あなたはルドガーと一緒に魔術師塔を訪れていた。
古城のような建物で、近代的ですっきりした騎士団本部とは違い、空気が淀んでいる。
塔の螺旋階段を上っていくと、ルドガーは自分の頭をがしっと抱え、唸った。
「ここの空気は頭が痛くなる。だから近づきたくないんだ」
「えっ大丈夫? 無理しないでよ、帰ってもいいよ」
「いや、あいつに会わなければ。俺達の生活のためだ」
そうまでして部屋の防音効果をあなたのために求める様子が、おのずと心を打った。
石壁にはロウソクが並び、蝙蝠が飛んできそうな冷やりとした屋内だ。
廊下を進むと、深紅の扉があった。
ルドガーは無遠慮に開き、中の住人を呼ぶ。
奥の書斎には、肩ほどのさらさらした白髪の男が座っていた。
白い瞳が振り向くと、あなたはあっと驚く。
「ミザロさん!」
「おや。さん。ルドガーまで。どうしたんです、ここに来るなんて初めてですね」
黒いケープをまとう彼が立ち上がり、静かに近づいてくる。
赤と青の炎が点在し、黒の家具とシャンデリアがいかにも魔術師の部屋という感じだ。
そこに浮かびあがる白髪と白目のミザロは、夜に見ると余計に怖かった。
「お前に聞きたいことがあるんだ」
「いいですよ。ソファにどうぞ。お茶にしましょうか、ケーキもあるんです」
「いいんですか?」
「もちろん。もうお友達ですからね」
にこりと言われてあなたは素直に喜んだ。
突然の訪問をそこまで歓迎してくれるとは。
あなたは甘い菓子をいただきながら、向かい合わせの革張りソファで様子を見守っていた。