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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第2章 【第一話】雪に残る歌


どれほど、その場に座り込んでいたのだろう。

雪は降り続けていた。

私の髪にも、肩にも、雪の上へ零れた灰にも、容赦なく白く積もっていく。

寒いはずなのに、何も感じなかった。

私は母の髪紐を胸へ抱き締めたまま、声も出せずに蹲っていた。

やがて、背後で雪を踏む音がした。

一歩。

また一歩。

迷いなく、こちらへ近付いてくる。

「……随分と派手にやったもんだな」

低い声が落ちた。

私はゆっくり顔を上げる。

赤い髪の男が、雪の中に立っていた。

長い外套を揺らし、酷く不機嫌そうな眼差しで辺りを見回している。

男の視線が、光の残滓を残す雪の上へ落ちた。

黒い灰。

砕けた異形の痕跡。

そして、私の喉元へ微かに残る白銀の輝き。

その瞳が、鋭く細められる。

「……この辺りでAKUMAの気配を拾ったんだが」

男は小さく舌打ちした。

「ガキ一人で浄化しやがったのか」

言葉の意味は分からなかった。

私は母の髪紐を握り締めたまま、掠れた声を絞り出す。

「……誰……?」

男はすぐには答えなかった。

ただ、私の顔を見たまま、ぴたりと動きを止める。

鋭かった瞳が、僅かに見開かれた。

降り積もる雪に濡れた銀色の髪。

母とよく似た瞳の色。

そして、震える手の中に握り締められた、銀の花飾りがついた細い髪紐。

男の視線が、私と雪の上に残った灰との間をゆっくり行き来する。

「……まさか」

低い声が落ちた。

先ほどまでの苛立った声音とは、僅かに違っていた。

男は雪の上に残る灰を見つめ、それから、苦々しそうに眉を寄せる。

「……あいつの娘か」

「あいつ……?」

私が問い返すと、男は短く舌打ちした。

何かを理解したように、深く息を吐く。

「……そうか。間に合わなかったか」

胸が、強く締め付けられる。

私は母の髪紐を握り締めたまま、震える唇を開いた。
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