第4章 【第三話】檻と家のはじまり
適合確認を終え、コムイさんと共に科学班の区画へ戻ると、先ほどと変わらない騒がしさが私たちを迎えた。
書類を抱えて走る人。
機械の前で頭を抱えるジョニー。
散らばった紙を抱え直しながら、別の作業机へ駆けていくタップ。
その背後で、積み上げられた山のような書類を前に、リーバー班長が深く溜息を吐いている。
つい先ほどまでいた静かな広間と、ヘブラスカの不穏な言葉が、まるで遠い夢のように思えるほど現実的な光景だった。
「 ティファ!」
こちらへ真っ先に駆け寄ってきたのは、リナリーだった。
「お帰りなさい。大丈夫だった?」
「ええ。少し驚いたけれど……大丈夫よ」
そう答えると、リナリーはほっとしたように息を吐く。
けれど、隣のコムイさんはすぐには何も言わなかった。
いつもの柔らかな笑顔は浮かべている。
それでも、その目の奥にだけは、先ほど聞いた言葉の重さが消えずに残っているように見えた。
やがてコムイさんは、空気を切り替えるように小さく手を叩いた。
「部屋の準備はできているよ。今日は長旅のあとに確認もあったから、無理はしないで休むといい」
「ありがとうございます、コムイさん」
「それと、正式な団服については明日採寸をしよう。君の戦闘形式に合わせて、動きやすさも考えて調整しないとね」