• テキストサイズ

【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第4章 【第三話】檻と家のはじまり


それまで穏やかだった彼の表情が、静かに引き締まっていった。

ヘブラスカの声が、広間の底へ沈むように響く。

やがて、彼女は私の名をもう一度呼んだ。

「 ティファ……」

「……はい」

「お前のイノセンスは……いつか救済の果てに……大いなる“終焉の導き手”を生むだろう……」

胸が、強く打った。

「……終焉の、導き手……?」

聞き返した声は、ひどく小さかった。

「白き歌を宿す者よ……お前の歌が……救いとなるか……終わりとなるか……」

ヘブラスカの触手が、僅かに揺れる。

喉の奥で、ニルヴァーナが熱を持った。

不意に、師匠の声が蘇る。

――お前のその力は……いつか、お前自身まで食い潰すぞ。

あの言葉の意味が、分かったわけではない。

けれど、今初めて、そこにあった不吉な重みへ触れた気がした。

私は静かに息を吐く。

残ったのは、喉の奥で脈打つ熱と、逃れられない言葉の重さだけだった。

「…… ティファちゃん」

コムイさんの声が、すぐ傍で聞こえた。

振り向く。

彼は眼鏡の奥の瞳を曇らせながら、心配そうに私を見ている。

先ほどまでの明るく飄々とした雰囲気は、そこにはなかった。

「大丈夫かい?」

すぐに頷くことはできなかった。

怖くないと言えば、嘘になる。

自分の歌が、いつか何をもたらすのか。

私自身にも、分からない。

それでも、ここで立ち止まるわけにはいかなかった。

「……大丈夫です」

ようやく微笑む。

「少し、驚いただけですから」

コムイさんは、すぐには答えなかった。

ただ、私の表情をじっと見つめる。
/ 537ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp