第24章 【第二十三話】恋人になった朝、揺れる剣
低く落ちた声に、また胸が跳ねた。
私は誤魔化すようにタオルで頬を隠す。
「……やっぱり、ラビがいると調子が狂う」
「知ってる」
楽しそうに笑う声。
「でも、もう慣れてもらわねぇとな」
「……どうして?」
聞き返した瞬間。
ラビが少しだけ身を屈め、私の耳元へ唇を寄せた。
誰にも聞こえないくらいの声で。
「恋人なんだから」
どくん、と胸が大きく跳ねた。
私は言葉を失い、真っ赤になった顔をタオルで覆う。
ラビは堪え切れなくなったみたいに笑った。
けれど、その手は右肩を避けるように、私の左手へそっと触れる。
その指先が、優しく絡んだ。
先ほど神田が出て行った扉を、私はもう一度だけ振り返った。
どうして、あんなに不機嫌そうだったのだろう。
けれど、深く考えるより先に、左手へ絡むラビの指先が私の意識を引き戻した。
右肩を避けるように触れる、その慎重な指先。
それだけで、胸の奥が静かに満たされていく。
私は小さく息を吐き、絡められた指へそっと力を返した。