第21章 【第二十話】残り香は、まだ熱い
私は羞恥で、今すぐ部屋へ戻りたくなった。
けれど。
ラビは笑ったあと、ようやくマフラーを受け取る。
その時。
指先が触れた。
ほんの一瞬。
けれど、昨夜の熱が蘇るには十分過ぎた。
私は反射的に手を引っ込める。
ラビの翠の瞳が、細められた。
「……覚えてる?」
低い声。
私は息を止める。
覚えていない。
でも。
何か、とんでもなく恥ずかしいことをした予感だけはある。
私が固まっていると、ラビは数秒こちらを見たあと、ふっと笑った。
「いや、忘れてるならいいさ」
その笑みが妙に意味深で、余計に不安になる。
「ちょ、ちょっと待って。私、本当に何したの!?」
「内緒」
即答だった。
しかも、すごく楽しそうだ。
私は顔を真っ赤にしたまま立ち尽くす。
そんな私を見ながら、ラビは受け取ったマフラーを首へ巻き直した。
その仕草が、昨日までよりずっと親密なものに見えてしまって。
私はますます、視線の置き場を失った。