第17章 【第十六話】吸血鬼退治と三人の距離~クロウリー編①
――その頃。
クロウリー城、深部。
重々しい扉が勢いよく開かれる。
「うおぇぇぇぇぇ……!!」
アレイスター・クロウリーが、ふらつきながら城内へ転がり込んできた。
長いマントを引き摺り、口元を押さえながら盛大にえずいている。
「苦い……!! に、苦過ぎるぅぅ……!!」
その姿を、薄暗い広間の奥から一人の女性が静かに見つめていた。
艶やかな金髪。
妖艶な微笑み。
エリアーデだった。
「お帰りなさいませ、アレイスター様」
柔らかな声。
「どうされたのです? そんなに慌てて」
クロウリーは涙目のまま彼女を見た。
「エ、エリ……エリアーデぇ……」
肩を震わせながら、情けない声を漏らす。
「わ、わた……私は……また……きゅ、きゅきゅきゅ……」
唇がわななく。
「吸血鬼になってしまったである……!!」
泣いていた。
そのすぐ傍。
床には、先程襲われた村人が横たわっている。
クロウリーはおそるおそる近寄った。
「……も、もしもし?」
返事はない。
「も、もしもぉーし……?」
つんつん、と肩をつつく。
「い、いいっ……生きておりませんか……? もしもし……?」
男はぴくりとも動かない。