第17章 【第十六話】吸血鬼退治と三人の距離~クロウリー編①
その時、汽車がゆっくり速度を落とし始めた。
車掌の声が響く。
『まもなく、ダンケルン村――』
窓の外には、小さな村の駅。
古びた街灯が霧をぼんやり照らしている。
「着いたみたいですね」
アレンが地図を畳む。
私達は荷物を手に、車両を降りた。
ホームへ足を下ろした瞬間、湿った夜気が頬を撫でる。
霧に包まれた駅は驚くほど静かで、人影もまばらだった。
遠くで、古びた看板が風に揺れている。
「……なんか、思ったより寂れてるさ」
ラビが周囲を見回しながら呟く。
私は小さく頷いた。
その時。
「あ、お弁当売ってます」
小さな売店の明かりが、霧の中にぽつんと灯っている。
「何か買ってきますね。ティファも食べます?」
「ありがとう、お願いしようかな」
「オレ肉多め」
「ラビは自分で買ってください」
むっとするアレンに、私はまた小さく笑った。
アレンは売店の方へ歩きかけて、ふと思い出したようにこちらを振り返る。
「ティファ、寒くないですか?」
「大丈夫よ」
「なら良かった」
その柔らかな声音に、胸が少し温かくなる。
「すぐ戻りますから、そこの灯りの下で待っててください」
アレンはそう言って、売店へと向かっていった。