第17章 【第十六話】吸血鬼退治と三人の距離~クロウリー編①
その時、ラビがちらりと私を見る。
「ティファ」
「何?」
「今回、何か感じても一人で動くなよ」
軽い声音だった。
けれど、その片目は思ったより真剣だった。
「見付けたら、ちゃんとオレ達に言え。……勝手に危ない方へ行くのは禁止」
胸の奥が、小さく揺れる。
任務だから。
仲間だから。
きっと、それだけの言葉だ。
そう思うのに、ラビの声は妙に優しく耳へ残った。
「……分かったわ」
私が頷くと、ラビは僅かに安堵したように笑った。
「よし。約束な」
その瞬間。
向かい側から、静かな視線を感じた。
アレンだった。
彼は何も言わない。
ただ、私とラビの間を見たあと、そっと目を伏せる。
その銀灰色の瞳に、ほんの一瞬だけ、言葉にならない影が落ちた気がした。