第16章 【第十五話】順番待ちの恋
すると、ラビが反射みたいに、こちらへ手を伸ばしかけた。
――ぴたり、と止まる。
まただ。
“待つ”と決めたから。
以前なら、もう迷わず触れていたはずなのに。
その躊躇いが、妙に胸へ刺さる。
ティファは無意識にその手を見てしまう。
ラビは気まずそうに視線を逸らした。
「……行くぞ」
低い声。
ティファは小さく頷く。
その時。
「ティファ」
今度はアレンだった。
振り向く。
アレンは静かに微笑んでいる。
けれど、その銀灰色の瞳だけが真っ直ぐだった。
「さっきの続き、また今度聞いてください」
胸が、大きく跳ねる。
ティファは言葉に詰まる。
ラビの空気が、一瞬だけ変わったのが分かった。
けれど彼は何も言わなかった。
ただ、小さく息を吐いただけ。