第16章 【第十五話】順番待ちの恋
その時だった。
書庫室の奥で、別の団員と話していたラビが、不意にこちらを見る。
露わになった翠の瞳と目が合う。
その瞬間、胸の奥が小さく跳ねた。
ラビは数秒こちらを見ていた。
けれど、すぐに視線を逸らす。
以前なら、そのまま自然にこちらへ来ていたはずなのに。
今は来ない。
それが、少し引っかかった。
ティファは無意識にラビを目で追ってしまう。
すると向こうで、女性団員がラビへ笑いかけた。
「ラビ、探してる資料これ?」
「んー、多分それ」
軽い調子。
いつものラビだった。
女性団員も楽しそうに笑っている。
別に、普通の会話だ。
いつもの光景。
なのに、何でもないはずの声だけが、やけに耳に残る。