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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第15章 【第十四話】言いかけた熱 


その時だった。

「……ティファ」

不意に名前を呼ばれる。

振り向くと、そこに立っていたのはアレンだった。

銀灰色の瞳が、静かにこちらを見ている。

「アレン」

久しぶりに見るその顔へ、自然と少し力が抜けた。

アレンは私の包帯へ視線を落とし、僅かに眉を寄せる。

「怪我、聞きました」

「大したことないわ」

「ティファはいつもそう言います」

困ったみたいに笑う。

その時だった。

「おーい、ティファ」

後ろからラビの声が飛んだ。

振り返る。

ラビはジョニーやタップ達と話していたはずなのに、いつの間にかこちらへ来ていた。

「コムイが呼んでるってさ。報告してくれって」

「ええ、分かったわ」

頷くと、ラビは自然に隣へ並ぶ。

その距離が、妙に近い。

けれど本人は無意識らしい。

アレンが、その様子を静かに見ていた。

ほんの一瞬。

銀灰色の瞳が、わずかに細められる。

「……?」

私が首を傾げると、アレンはすぐいつもの笑みに戻った。

「いえ。ちゃんと帰ってきてよかったです」

穏やかな声。

けれど、ラビへ向ける視線だけが、ほんの少し静かだった。

ラビもそれに気付いたらしい。

一瞬だけ、視線がぶつかる。

互いに何も言わない。

ただ、ほんの少しだけ空気が変わった気がした。

「……で、任務どうだったの?」

ジョニーが興味津々に身を乗り出してくる。

私は息を吐き、小さく視線を落とした。

歪んだ遊園地。

消えかけていた少年。

空間を裂いたAKUMA。

脳裏へ蘇る光景に、『ニルヴァーナ』が喉の奥で微かに脈打つ。

その瞬間。

「ティファ」

低い声。

隣を見る。

ラビだった。
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