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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第13章 【第十二話】記録に残らない熱


「やめて、ラビ!」

私は触手が緩んだ隙に、どうにか右腕を引き抜いた。

身体が地面へ落ちる。

着地した瞬間、裂かれた腕へ激痛が走った。

「っ……!」

膝が崩れかける。

指先の感覚がうまく戻らない。

血が、団服の袖を伝って石畳へ落ちる。

けれど、視線の先では、ラビの炎がまだ止まらなかった。

AKUMAの黒い身体は、すでに大きく崩れている。

歪んだ顔がひび割れ、胸元から白い光が溢れ出した。

次の瞬間。

甲高い断末魔と共に、黒い器が内側から弾け飛ぶ。

囚われていた魂の光が、細い粒となって雨上がりの空へ昇っていった。

AKUMAは、もう消えている。

それなのに。

ラビの炎だけが、止まらなかった。

「ラビ、それ以上は駄目!」

声を張り上げる。

けれど、彼は止まらない。

火判の炎が、さらに大きく揺らぐ。

その姿が、怖いほど遠かった。

病室で私を支えた手。

汽車の中で触れずにいた指先。

いつも笑って、何事もないように離れていった彼。

そのすべてが、目の前の炎へ呑み込まれているようだった。

「……ラビ!」

私は傷付いた右腕を左手で庇い、無理やり立ち上がる。

熱風が肌を灼く。

火の粉が髪へ降りかかる。

一歩踏み出すたび、腕の傷が脈打った。

それでも、止まれなかった。

このままでは、ラビまで壊れてしまう。
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